令和3年度「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」報告ページ

令和3年度「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業補助金」を活用して事業を行いましたので、以下の通り報告します。

事業概要

事業名称中山間地域の持続的な経済循環構築による空き家問題解決事業
事業主体名一般社団法人コノマチ
連携先信州大学 経法学部教授 武者忠彦氏
一般財団法人 長野経済研究所
佐久穂町役場 総合政策課 政策推進係
対象地域長野県南佐久郡佐久穂町
事業概要1:大学生による4つの空き家・集落調査の実施
2:中山間地域における空き家の利活用イメージの作成
3:1および2を集約した公表用調査報告冊子データの作成
4:経営専門家との検討に基づく利活用スキームの作成
事業の特徴1:集落調査は単なる空き家調査ではなく、地域の歴史的・地理的な文脈を 可視化するとともに、移住者の暮らし方にも注目した内容である。
2:報告冊子は地域の人に関心を持ってもらう工夫を凝らした。
3:来年度以降の具体的な取り組み内容まで含めて検討を行った。
成果1:調査結果をまとめた報告冊子の完成と公表
2:経営専門家との検討に基づく、空き家利活用に向けた事業スキームの策定
3:活動報告用ホームページの整備と活動実績の公表
成果の
公表方法
ホームページにおける公表(URL: https://cono-machi.com)
今後の課題1:調査を進め、事業を構想した次の段階として、実践することが求められる。 賛同者、協力者も増えている中で、取りまとめ事業化すること。
2:更なる調査範囲の拡大と、物件所有者や移住希望者以外の地域の人にも、関心を持ってもらい、参加してもらう方法を具体化していくこと。

成果物

各調査結果をとりまとめた冊子データを作成しました。当初計画にあった、地域住民を対象とした報告会開催と報告会参加者への冊子配布はできなかったため、今後の活動の中で折を見て提供していく予定です。

成果物表紙

PDFデータのダウンロードはこちら

評価と課題

(1)大学生による空き家・集落調査

【評価】 空き家調査や地域関係者へのヒアリングから、集落ごとの特性や空き家発生原因が判明した。空き家を活用していくためには、集落に根づく文脈を読み解いていく必要があることが改めて確認された。

【課題】 空き家を所有している方へのヒアリングを行うことができなかったが、仮説の検証や新たな方向性の検討が生まれた可能性がある。また、調査範囲をより拡大させることで、今回の結果とは異なる結果が見えてくる可能性がある。

(2)専門家による新たな空き家活用イメージの作成

【評価】 建築士や宿泊事業者などの協力により、中山間地域における空き家活用のイメージを形にすることができた。空き家の使い方は暮らしのスタイルであり、イメージは想いを広げていく契機になる可能性がある。

【課題】 イメージとしては可視化する事ができたが、実際の建物として実証的にでも具体化することで、より地域の方からの関心も高まる可能性がある。実践の場が求められる。

(3)調査結果に基づく冊子作成、歴史的・地理的な文脈の可視化

【評価】 非常に読みやすく、内容として整理されたものが完成した。地元住民の方だけでなく、類似する中山間地域の方にも関心を持って読んでもらえる内容になったと評価する。

【課題】 新型コロナウイルスの影響もあり、当所予定していた地域に対する報告会が開催できなかった。その場において、冊子の配布なども検討していたが、開催できなかった分の代替案を検討していきたい。

(4)外部専門家との利活用事業スキームの検討

【評価】 地域金融機関に勤務経験のある経営コンサルタントから、空き家利活用をビジネスとして構築する際の適切なアドバイスと情報提案をいただくことができた。策定した事業スキームを有効活用できる内容である。

【課題】 スキームを構築しても実践と行動に移してこそ意味がある。具体化に向けた取り組みを加速させるべきである。

今後の展開

事業から見えてきた課題を踏まえて、今後の動きを推進していく必要がある。特に今年度は、冒頭の課題認識にもあるとおり「地域社会からのクレジットの獲得」に着目した取り組みを実施した。

今後は調査結果や構築したものを下敷きにして、事業を具体化し実現するとともに、物件所有者や移住希望者以外の地域の人を巻き込み、主体的に参加してもらうことが必要となる。例えば、以下のような取り組みが有効と想定する。

  • 構築した事業スキームに基づき、空き家を物件として利活用していくために、必要な資金と人の協力を集めていく。例えば、住民出資による合同会社の設立や地域住民からの寄付・出資を募るなど。
  • 物件所有者や移住希望者以外の地域の人が、参加・関与できる方法を検討する。例えば、住民参加型のワークショップや今年度事業の調査報告会をセッティングするなど。
  • 調査した集落以外にも対象を広げることで、新しい成果が見えてくる可能性がある。対象範囲を広げるとは、今回とは別の地域、今回とは違う人(空き家の所有者、相続予定者、移住希望者など)を想定する。
  • 移住希望者が増えている中で、物件所有者との地域社会が触れ合うマッチング方法の検討。例えば、実証的に入居希望者とのマッチングを行い、それを評価していくなど
  • 事業構築の具体化のため、新しい領域での専門家の支援を視野に入れる。